G20閉幕、自由貿易の基本原則を確認


50年にプラごみゼロで一致

 日本が初の議長国を務める20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は29日、2日間の協議を終え、首脳宣言を採択して閉幕した。米国と中国の貿易摩擦が長期化する中、宣言に「自由・公正・無差別な貿易、投資環境の実現に努める」ことを明記。デジタル経済のルール作りの枠組み「大阪トラック」の開始を宣言するとともに、海洋プラスチックごみ削減へ具体的な実施の枠組みで合意した。

 最大の焦点である自由貿易の推進に関しては、昨年に引き続き「保護主義と戦う」という文言は見送られた。この点に関し、安倍晋三首相は閉幕後の記者会見で、「自由・公正・無差別・開かれた市場、公平な競争条件といった自由貿易の基本的原則を明確に確認することができた」と指摘。確実に宣言を採択するため、「各国間の対立ではなく一致点に焦点を当てた」と強調した。

 宣言ではまた、今回サミットの目玉の一つとして注目されてきた海に流出するプラスチックごみを2050年までにゼロにする日本提案の目標「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有したと明記。首相は「世界全体で対策を進めるに当たって大きな意義がある」と強調し、一部の国ではなくすべての国が対策に取り組む必要性を訴えた。

 またWTO改革の必要性についても一致した。グローバル化、デジタル化への対応策として、デジタル経済における新しいルール作りの枠組み「大阪トラック」の開始を28日に宣言。首相が提唱する「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)」の下で、日米や欧州連合(EU)、中国など78の有志国・地域は来月、初の本格会合を開き、来年6月のWTO閣僚会合までに実質的な進展を目指す。 また、EUの要求に基づき、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に沿って行動することを確認。協定離脱を表明した米国の主張も併記した。

 日本がG20サミットの議長国を務めたのは初めて。任期は今年11月までで、12月以降はサウジアラビアが議長国となる。

(G20大阪サミット取材班)