後半国会、将来見据えた骨太の議論を


 一般会計総額が過去最大の101兆4571億円となる2019年度予算が成立し、国会は後半戦に入った。

対決姿勢強める野党

 19年度予算は、10月の消費税率10%への引き上げに伴う景気対策として、キャッシュレス決済向けポイント還元やプレミアム付き商品券などに計2兆280億円を計上。増税に伴う経済への悪影響を最小限に抑える必要がある。

 防衛費は、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備などを盛り込み、過去最大の計5兆2574億円となった。中国や北朝鮮の脅威が高まる中、十分な対処が求められる。

 後半国会で、政府・与党は幼児教育・保育を無償化する子ども・子育て支援法改正案や、親の体罰を禁止する児童虐待防止関連法改正案などの会期内成立を目指す。これに対し、立憲民主党など主要野党は、厚生労働省の統計不正問題や、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題などを引き続き追及。安倍政権との対決姿勢を鮮明にする方針だ。

 統計不正問題をめぐっては、失業手当などで延べ約2000万人に支払い不足が生じた。大きな混乱を招いた政府の責任は重い。

 この問題は昨年末の予算編成後に発覚したため、予算案を修正した上で閣議決定をやり直す異例の事態となった。政府が再発防止を徹底するとともに、不正の経緯を解明して丁寧に説明すべきであるのは当然だ。

 一方、野党は安倍政権の経済政策「アベノミクス」の成果を大きく見せるために首相官邸が関与したと追及したものの、決定的な事実を突き付けることはできなかった。野党が政権との対決姿勢を強めるのは、今月の統一地方選や夏の参院選を念頭に置いたものだろうが、政権批判だけでは野党への支持は広がるまい。

 国民は、将来を見据えた骨太の議論を国会に求めている。後半国会で、政府・与党は憲法改正に関して、国民投票の利便性向上を図る国民投票法改正案の審議入りを模索、停滞が続く国会での改憲論議の契機としたい考えだ。しかし、憲法審査会の始動は見通しが立たない状況が続いている。審査会の開催に野党が応じようとしないためだ。

 現行憲法は施行から70年以上が過ぎているが、一度も改正されたことがない。日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、戦力の不保持や交戦権の否認を定めた9条の改正は喫緊の課題だと言える。

 憲法を改正するか否かは最終的には国民投票によって決まるが、改憲を発議するのは国会の役割である。その国会で、改憲論議がほとんどなされていないのは怠慢のそしりを免れない。

改憲論議を深めたい

 自民党は9条への自衛隊明記など4項目の党改憲案をまとめている。安倍晋三首相は、今国会の施政方針演説で「憲法審査会の場で各党の議論が深められることを期待する」と述べた。

 5月には新天皇が即位され、元号も変わる。各党は新しい時代にふさわしい憲法について論議を深めるべきだ。