【東京16区】都議離党で3極構図変化


演説に集まった聴衆と握手をする候補者(15日、東京都江戸川区)

演説に集まった聴衆と握手をする候補者(15日、東京都江戸川区)

 「私はとにかく皆さんに存在を知っていただかなければなりません」。議員歴は3期8年だが、静岡4区からの国替えで16区では新参者。地元に根を張る前職2人に挑む田村謙治は長時間街頭に立ち、聴衆一人ひとりと握手して名刺を渡す。「お笑い芸人のたむけんと同じ名前です」とアピールし、名前を覚えてもらおうと必死だ。江戸川区に地盤が無く、“小池人気”と7月に当選した都民ファーストの都議2人が頼みの綱だったが、上田令子の離党で目算が外れた。しかし田村陣営は「みんなの党出身の上田さんの票は、自民も民進も支持しない層からのもの。その票がどこに行くかといえばうちしかない」と強気に構える。

 一方で初鹿明博の陣営は「正直ラッキーだった。上田さんがいたらもう少し厳しい戦いになったかもしれない」と吐露する。田村と同じ民進出身だが政策はまったく違う。連合の推薦を取り付け、共産が新人の出馬を取り下げたことでリベラル票を独占する形になった。「有権者の反応は良い。今までと違い手ごたえを感じる」(選対幹部)といい、立憲民主の勢いにも期待する。少しの票も取りこぼすまいと地元商店街を練り歩き、小さな路地まで入って有権者と握手した。

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 前回と前々回の衆院選を勝ち抜いた大西英男はまさに「守り」の選挙戦だ。他の候補に比べ街頭に立つ時間は圧倒的に少ないが、小集会を重ね自民と公明の組織固めに奔走する。失言問題で都連副会長を辞任しており、希望への保守票流出も警戒、自民優勢との報道にも「どこの世界の話かという感覚。反省すべき点は反省し、死に物狂いで闘う」(選対幹部)と気を引き締める。毎日夕方の街頭に立つ大西は、演説の大半を割いて政権の安定性と公約実現力を前面に押し出し、「国際的な流れを作り、経済をもう一歩前に進めるのは自公政権だけなんです」と力強くアピールした。(敬称略)(亀井玲那)