【沖縄1区】「オール沖縄」の勢いに陰り
公示翌日の11日、沖縄県東村の民間地に米軍普天間飛行場所属の大型輸送ヘリコプターが緊急着陸、炎上した。県民の反基地感情の高まりは自民党にとって逆風でしかない。
沖縄入りしていた岸田文雄政調会長は12日の遊説を取りやめ、現場視察や翁長雄志知事との面会などの対応に追われた。
岸田派の国場幸之助の事務所では事故の一報を受け、「横一線で健闘中だったが、差し引いて見ざるを得なくなった」(幹部)と危機感を募らせた。
沖縄4選挙区の中で、唯一、共産党との対決となるのが1区だ。前回は沖縄県知事選の直後で、翁長を支える「オール沖縄」が勢いづいていた。
ところが、今年に入り、「オール沖縄」陣営は市長選で3連敗。地元の那覇市議選では翁長派の与党が過半数割れし、自公の支援を受けた国場は組織戦だけでなく、小さな行事にも顔を出し、握手をして回っている。
「多くの課題を責任を持って解決できるのは自公しかない」との訴えはすでにガラガラ声の状態だ。
出陣式で「共産党の宝」と小池晃書記局長に持ち上げられた赤嶺政賢は「1区から4区まで『オール沖縄』を勝利させ、安倍内閣を追い込んでいこう」と訴えた。赤嶺は全国で唯一、小選挙区で当選した共産党公認候補である。
ところが遊説カーは「オール沖縄候補」を連呼、選対本部やチラシには「オール沖縄の代表」という言葉が並ぶが、「共産党」という文字はない。共産党色を排除することで、社民、沖縄社会大衆党の票も取り込もうという作戦だ。
顔が真っ黒に日焼けして「第3勢力に期待してほしい」と精力的に訴えるのが維新の下地幹郎だ。希望から推薦を得たものの、「小池ブームに期待していたが、辺野古推進派でもあるのでプラスには働かない」(運動員)。自公と共産の争い中で埋没気味だ。(敬称略)
(那覇・豊田 剛)