【北海道1区】自民、革新の牙城崩せるか
「今回の衆議院議員選挙は日本を守るための選挙です。私たちは何度も北朝鮮に騙されてきました。自民党はしっかりと国民の生活と安全を守る政党です」
選挙戦後半に入った10月15日、安倍晋三首相は札幌中心街の大通公園で1区から立候補した自民公認候補・船橋利実の応援に駆け付けた。10月中旬とはいえ気温は10度前後。立っているだけで身体の芯から寒くなる。その中でも首相は立憲民主について「希望の党に入党を断られ急遽(きゅうきょ)新党を結成し、そうかと思えば今度は昔の政党名に戻るようなことを言う。いい加減な政党には日本は任せられない」と熱弁を振った。
だが、安倍首相の顔には余裕の表情はなかった。というのも北海道は昔から革新系が強いからだ。とりわけ札幌は革新政党の牙城となっている。
しかも今回は、共産が候補者を出さずに立憲民主に相乗りしたことから自民候補は苦戦を強いられている。その象徴が船橋だ。「北朝鮮の度重なる脅迫にきちんと対応できるのは自民党」と船橋は必死に訴える。前々回の選挙では横路孝弘を倒したものの、前回は敗れ比例でも復活できなかった。今回、横路後継の道下大樹が立憲民主から出馬し一騎打ちの様相だ。船橋は負ければ政治生命が絶たれるだけに後がない。
一方、立憲民主は13日に枝野幸男代表が道内入りし札幌5カ所で演説し、安倍政権を批判。さらに「かつて北海道は民主王国といわれた。北海道に勝ってもらわないとわが党の未来はない」と有権者に訴えた。
また、“反自民”を掲げる連合北海道は、今回の選挙を、「安倍政権の暴走を許す『一強多弱』の政治をストップをさせる千載一遇のチャンス」(出村良平会長)と捉え、立憲民主、希望を含む11人を推薦。比例区においては立憲民主を推す、としている。そのことも立憲民主にはプラスに働いている。(敬称略)
(札幌・湯朝 肇)