民進党代表選、「民共路線」に始末をつけよ
民進党の代表選がきょう告示される。二重国籍問題や東京都議選惨敗の責任を取り辞任を表明した蓮舫代表の後任を選ぶ。最大の焦点は、野党第1党として政権批判の受け皿になり得る政策を提示できるかだ。それがなければ、看板を代えても国民の支持は取りつけられまい。
前原、枝野両氏が対決
代表選には前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官が出馬表明しているが、政権構想や安全保障・外交など基本政策について明確な発言はない。代表選でしっかり示してもらいたい。
同党は昨年3月、民主、維新両党が合流して結成された。結党大会では「政権交代可能な政治の実現」をうたった。初代代表に就いた岡田克也氏は「民進党でもう1回、国民に信頼され、日本の政治の本流を担える政党をつくっていく」と強調した。後任の蓮舫氏も「政策も対案もある」と胸を張った。
だが、今に至るも政策と対案を示したとは言い難い。それを象徴するのが、政策を棚上げにしたまま共産党と共闘する「民共路線」だ。
共産党は日米安保条約に反対し、憲法観や消費税への基本的な考えも違っている。何よりも共産党は、警察庁が「現在においても『暴力革命の方針』に変更はないものと認識している」(政府答弁書=2016年3月)とする破壊活動防止法に基づく調査対象団体だ。
それにもかかわらず、共産党と選挙協力や安倍政権打倒、安保関連法廃止などで共闘してきた。国会では反対するだけで代案を提示することはなかった。
テロ等準備罪をめぐる国会審議や「加計学園」問題の閉会中審査では重箱の隅をつつくような論議を繰り返した。北朝鮮の核・ミサイル問題についても沈黙し、安倍内閣の足を引っ張ることに汲々(きゅうきゅう)とするだけだ。
これで政権交代可能と国民は認めるだろうか。その答えは支持率低迷で明らかだ。先の都議選で共産党は議席増を果たしたが、民進党は惨敗し、政権批判の受け皿になっていないことを印象付けた。
これとは対照的に都議選で躍進した「都民ファーストの会」の国政進出への期待の声も聞かれる。民進党を見切った細野豪志元環境相ら離党者が相次ぎ、都民ファーストとの連携や新党結成の話も出ている。いずれも民進党抜きの動きだ。民進党は存立そのものが問われている。
こうした疑問に前原氏と枝野氏はどう答えるのか。前原氏は「政策、理念が一致しない政党との協力は野合でしかない」と述べているが、ならば民共路線と決別することを代表選で明確にすべきではないか。
一方、枝野氏は「自民党の議席を1議席でも減らすとの目的を見据えれば、答えはおのずから出る」と強調し、野党共闘を継続させる考えだ。それならば政権構想をどう描くのか、安保や憲法、消費税などの基本政策はどうするのか。曖昧な態度では国民の疑問は解消できまい。
決別なくして未来はない
いずれにしても民共路線との決別なくして民進党の未来はない。代表選でその始末をつけるべきだ。国民は厳しい目で見ている。