参院予算委員会での地方創生に関する政府と…


 参院予算委員会での地方創生に関する政府と自民党議員のやりとりが興味深かった。「地方創生で地方がいくら知恵を出せと言われても、道路ができていない現状では、知恵にも限度がある」と過疎先進県を自認する島根選出議員。

 これに対し安倍晋三首相は「社会資本の整備は未来への投資。次の世代に残すもの。いざと言う時、ライフラインの役目もする」とその必要性を強調した。ここまではエールの交換と言ったところ。

 しかし、やりとりを聞いていくと、地方創生の難しいところは、道路のネットワークをつくれば過疎解消は見えてくるかというと、そうはすんなりいかない点。例えば、子供の教育について。

 高校を卒業すると大学は東京に。そして就職先も東京となって、そこに住みついてしまう。地方に留めるには魅力ある大学建設が必要になる。

 一事が万事で、道路建設と並行して、地域の産業、伝統・文化の潜在力を高め発揮することが必須であり、そのためには「知恵」が要るということになる。この堂々巡りが、竹下登政権の「ふるさと創生」から25年続けられ、一点突破がなされてない。

 だが、希望はある。くだんの島根県は出生率の高さが全国2位、県庁所在地の松江市は住みやすさが全国1位。これは単に流行になびくのでなく、各人がその生き方、価値観を重視した居住地選びの結果であると言えまいか。その輪が広がる可能性は十分ある。