「初花は空に消えたる如くなり」(高浜年尾)…


 「初花は空に消えたる如くなり」(高浜年尾)。「初花」とは「初桜」のことを意味する。梅が花の代表だった奈良時代に対し、平安時代以降は、ただ「花」と言えば桜を指している。中国などの外来の文化にあこがれた奈良時代と国風文化が花開いた平安時代の違いがある。

 歳時記では「初桜」について次のように記している。「桜の咲き始めたのをいう。待ちに待った桜なので、それを初めて目にしたときの感動は大きい」(稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』)。

 東京地方では気象庁が21日に開花宣言しているが、満開になるのは下旬から4月初旬にかけてらしい。それでも、きょうあたりは満開を待ちきれずに花見の場所取りをし、宴会をするグループが多いことが予想される。

 桜が咲くのも、場所によって早かったり遅かったりする。小社の近くの桜も数㍍も離れていないのに、咲き始めた木もあれば、まだ蕾(つぼみ)状態の木もある。太陽の光量や気温などが原因のようだ。

 それにしても桜の開花で、一分咲き、二分咲きなどと細かく観察して発表するのは日本ぐらいだろう。それだけ桜が特別視されてきたわけだ。

 奇しくもきょうは、日本さくらの会が平成4(1992)年に制定した「さくらの日」に当たっている。「3×9(さくら)=27」という数字の語呂合わせによるものだが、そのほか「桜始開」(七十二候の一つ)と重なる時期ということも理由になっている。