自民党大会 保守の原点をもっと前面に


 自民党は新型コロナウイルス感染拡大の影響で2年ぶりとなった党大会を都内で開いた。年内に衆院解散・総選挙を控える中、地方選では黒星が目立つなど足元には揺らぎも見える。気を引き締め、組織固めを急ぐ必要がある。

 地方選で黒星目立つ

 演説した菅義偉首相(党総裁)は、新型コロナについて「一日も早く収束させ、安心とにぎわいのある日常を取り戻す」と決意を表明。緊急事態宣言の全面解除後を見据えて「決して気を緩めることなく、変異株を警戒し、リバウンドを防ぐ」と強調した。収束に向け、政府と与党・自民党との緊密な連携が求められよう。

 発生から10年を迎えた東日本大震災の被災地に関しては「福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なし」と述べた。今夏の東京五輪・パラリンピックは「震災から復興する姿を示し、人類が新型コロナに打ち勝った証しとなる大会にしたい」と意気込みを示した。25日には聖火リレーも始まる。自民党も政府や東京都、大会組織委員会などと協力し、安心安全な大会の実現を目指すべきだ。

 演説で最も注目されたのは、衆院選をめぐる発言だった。首相は「先頭に立って戦い抜く決意だ。皆さんのご協力を心からお願いする」と訴えた。

 ただ、1月の沖縄県宮古島市長選や山形県知事選、今月の千葉県知事選などでは支援候補や推薦候補が敗北するなど、地方選では黒星が目立っている。首相の長男も関与した総務省幹部接待問題も浮上する中、いかに有権者の信頼を回復するかが問われよう。

 首相は、自民党が「古き良き日本の伝統を守り、多様性と創造性を大切にしながら、日本を次の世代に引き継いでいくことができる」と述べた。衆院選に向け、このような保守政党としての原点を前面に打ち出す必要がある。

 自民党のもう一つの原点である憲法改正について、首相は「わが党の党是」と指摘。改憲に関する国民投票法改正案について「与野党で今国会において何らかの結論を得ることで合意している」と述べた。

 だが、これでは物足りない。新型コロナ対策を講じる中で、現憲法に緊急事態条項がないことの弊害が改めて浮き彫りとなった。改憲の必要性をもっと強く訴えるべきではなかったか。

 首相は来月に米国を訪問して「バイデン大統領が直接会談する最初の外国首脳として迎えていただく」と述べた。中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発が進む中、米国との同盟を強化することはもちろん重要だが、日本は地域の大国として自国の平和を守るだけでなく、地域の安定に貢献していく使命がある。こうした役割を十分に果たしていくには、憲法9条の改正が急務だ。

 改憲への支持広げよ

 自民党は2018年3月に「改憲4項目」をまとめた。

 野党の反発で衆参両院の憲法審査会での論議は停滞しているが、自民党は粘り強く改憲に対する国民の支持を広げていかなければならない。