西欧文明の神髄伝えた中村正直


加藤 隆

名寄市立大学教授 加藤 隆

 中村正直は号を敬宇という。天保3(1832)年に生まれ、明治24(91)年に没している。江戸時代の儒学の本山であった昌平黌(しょうへいこう)で秀才の名をほしいままにしたエリートである。彼が泰平の時代に生きたならば、後世に大儒学者として名をとどめたように思う。しかし、時代は彼を昌平黌にとどめず、世界に引っ張り出し、日本人の心を燎原(りょうげん)の火のように燃やす人物へと導いていった。


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