日本は日本たる王道を歩め
憲法改正で抑止力強化
誇りを棄てた国は滅ぶ運命
12月14日の衆議院選挙において自民党は圧勝した。当初、「何のための解散か」という論調も見られたが、結果は呆気なかったという感すらあった。当選者数だけを見ても自民291(マイナス4)、民主73(プラス11)、維新41(マイナス1)、公明35(プラス4)という具合だが、共産党の躍進21(プラス13)が目立った。「自公圧勝」というのが正直なところだろう。12月16日付の「夕刊フジ」を寸見したところ、「安倍長期政権は最悪結果」とか「落胆と戦慄」という表現が目に飛び込んできて驚いたが、良く見るとこれは中韓両国の反応を指しているのだった! ただ、沖縄だけは違っていた。すなわち、辺野古反対派の候補が小選挙区で当選し全選挙区を制するという結果になった。
先ず野党の方だが、落選・辞任の海江田代表の後任が問題になる。ここでは、自民一強体制に対抗すべく野党の大同団結を説く細野元幹事長に対する期待、また、労働組合系を中心に党再建を重視すると見られる岡田元代表を担ぐ面々があり、代表選は18日に行われる。
他方、自民党側だが、安倍総理は12月15日の記者会見で、「政治の意志を貫いていく上で今回の大きな勝利は強い力となった」と述べた。確かに、今回の解散は「アベノミクス解散」だったが、同時に「集団的自衛権行使の一部容認に関する7月の閣議決定」を踏まえたものでもあった。
さて、今回の結果は安倍政権の長期化を目玉に政権基盤の強化を意味する。かかる国民の信を得たいま安倍自民党は何を目指すべきか。今こそ戦後体制が抱える多くの課題に取り組むことだろう。憲法改正はその最たるものだが、特に9条の改正は必須である。そもそも同条制定の最大の目的は「日本を米国に立ち向かわぬよう永久に非武装にすること」だった。ところが、朝鮮戦争の勃発、東西冷戦による事情の変化のため、米占領軍は逆に日本に再武装を求め、警察予備隊が生まれ、これが現在の自衛隊になった。
しかし、現在の自衛隊は警察力の延長と位置づけされ、可能なことが限定された「ポジティブリスト」の組織であって、禁止事項以外は可能とされる「ネガティブリスト」の組織である軍隊とは決定的な違いがある。日本国が抑止力をより強化して国際社会の常識に沿うためには、第9条を改正して軍隊の保持を認めることが不可欠であろう。筆者がかつて在勤していた「永世中立国」であるスイスですら強力な軍隊を持っているのだ。
現在日本国を収り巻く環境は、憲法前文にある「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」することを許すものではない。核をちらつかせ、人民を拉致して帰さない。尖閣周辺海域に公船を日常的に侵入させ、また、小笠原と伊豆両諸島近海に220隻に上る中国船が押し寄せ、そこで珊瑚を不法に採掘せんとしていた。海上保安庁の船舶5隻では到底対処できない。さらに、一昨年7月には五島列島福江島の玉之裏湾にも侵入してきたことがある。こんな国々の「公正と信義」とは何だろう。それにも拘らず、日本国内には無関心の態度を取り続ける向きがある。平和という「言葉の幻想」に害され、軍事というものについてのすべてに対して拒否反応に浸るなど、現行憲法に内包される矛盾を指摘する時が来ているのだ。
ところで、中国は戦後70年となる今年を「対日全面的歴史戦争の年」と定め、12月13日には、南京大虐殺記念館で習主席が日本軍による30万人虐殺説を根拠もなく述べていた。戦時中のことでもあり、犠牲者はあったとしても30万とはあまりにも誇張されているのだ。かかる事情の下、日本としては、ただ王道を歩み続けることが大切である。今までの日本は精神の「骨抜き」にあった如く、何とも言えない「無残」な態度をとり続けていた。勿論、ここ数年来多くのメディアも幻想から抜け出し、日本の本質に目覚めつつあったのも事実である。
自民党は今年9月の総裁選で安倍首相を選ぶのは確実だし、その後2018年まで現首相の続投を妨げるものがない。この長期安定政権の間に、先ず戦後体制の病根の根底にメスを入れ、惰眠を貪らず、ひたすら「正しき道」を歩むのみ。そのためには、わが国の国柄を認識することだ。
日本人には「初詣」という習慣がある。古事記の時代に遡り、また、多くの神話に見られるとおり、祭司を司り国家・国民の安寧を祈る天皇を国の基とする国家である。また「和」も大切。聖徳太子の十七条憲法の中でも「和」が「仏法」より上位に置かれたのであり、また、明治天皇の五箇条の御誓文にもその精神が内包されているように感ずる。戦没者の慰霊のための靖国参拝の真意(決して戦争の美化ではない!)を世界に発信し続けるべきで、かくしてこそ英霊への感謝と礼節を示して国民の衿持(きょうじ)を取り戻すべきであろう。外国が何と云おうが、国として誇りを棄てた国はやがて滅びる運命にあることを銘記すべきである。
(おおた・まさとし)