即位礼正殿の儀 陛下と共に新たな時代築こう
きょう天皇陛下の「即位礼正殿の儀」が行われる。晴れのこの日を迎えることができたことを喜び、大嘗祭を含む一連の行事がつつがなく執り行われることを祈りたい。
皇室外交も本格的に始動
陛下は5月1日に皇位を継承された。その中心儀式は三種の神器を受け取る「剣璽等承継の儀」であった。きょうの即位礼正殿の儀では、陛下が高御座に上り即位を宣言される。
国内外から約2000人が参列するが、この中には英国のチャールズ皇太子をはじめ174カ国からの賓客もいる。対外的なお披露目の意味もあり、これまで多くの国々と親交を深めてこられた陛下の、いわゆる皇室外交も本格的に始動する。
歴史的に欧州の王室とは特別なゆかりがある。それらの王室や国民との交流をさらに深めていかれるのはもちろん、例えばブータン王室との交流など、大国・小国の区別なく、心のこもった御親交をこれからも続けていただきたい。
ブータンは国土面積は九州ほどで人口約75万人の小国だが、昭和62年に浩宮殿下時代の陛下が日本の要人として初めて訪問され、日本との文化的な親近性を国民に強く印象付けられた。今年8月には、秋篠宮殿下御夫妻と御長男の悠仁殿下が訪れられている。
外交官出身の皇后陛下も御体調を気遣いながら、無理をなさらずに海外との御交流に存分に力を発揮され、天皇陛下をお支えしていただきたい。
当初予定されていたパレード「祝賀御列の儀」が、台風19号の上陸で各地に甚大な被害が出たことを考慮し11月10日に延期されたのは残念だが、常に国民と共にある皇室の在り方を考えれば妥当な決定と言える。
陛下は「即位後朝見の儀」で「上皇陛下がお示しになった象徴としてのお姿に心からの敬意と感謝を申し上げます」と述べられ、上皇陛下をお手本に象徴天皇としてのお務めを果たしていく姿勢を滲(にじ)ませられた。
象徴としての在り方を真摯(しんし)に追求・実践された上皇陛下から多くを学ばれた天皇陛下には、さらに御自身が培われてきたものを生かして新たな象徴としてのお姿をお示しいただきたい。国家の安全と独立、少子高齢化、地球温暖化など環境変化による自然災害の激増など、日本はさまざまな課題に直面している。
伝統を継承・保持しながら時代に適応していくことが、特に戦後日本の皇室の一つの特徴となってきた。しかし、皇室は目まぐるしく変化する政治や流行を超えた不変の伝統を持ち続けることで、国家・国民に対して大きな役割を果たす。陛下が伝統の保持と時代への適応をどう調和させていかれるのか、国民が最も注目するところである。
国づくりの決意固めたい
今回われわれ国民も日本の皇室のユニークさ、天皇を国の象徴として戴(いただ)くことの素晴らしさを改めて実感するに違いない。
国民と苦楽を共にする皇室は何よりも国民の支えを必要としている。われわれも天皇、皇后両陛下と共に、歴史に記憶される素晴らしい令和の御代とすべく、新たな国づくりの決意を固めたい。