退位法成立「大きな安らぎ」「最後かも」と感慨深く旅に


皇后陛下、きょう83歳に

 皇后陛下は20日、83歳の誕生日を迎え、宮内記者会の質問に文書で回答された。6月に天皇陛下の退位を可能とする特例法が成立したことについて、長年象徴のあるべき姿を求め、高齢となった陛下が安息の日々を持てると安堵(あんど)。「計りしれぬ大きな安らぎを覚え、これを可能にして下さった多くの方々に深く感謝しております」と記された。

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83歳の誕生日を迎えられた皇后陛下と天皇陛下=9月27日、皇居・大道庭園(宮内庁提供)

 特例法成立後、皇后陛下が所感を公にしたのは初めて。今年は国内各地を訪れる際も、「もしかすると、これが公的に陛下にお供してこれらの府県を訪れる最後の機会かもしれない」と感じ、感慨深く旅をされたという。

 1年を振り返り、心配していることとして、自然災害や原発事故からの復興をはじめ、奨学金制度やヒアリなどの問題を列挙。印象に残った出来事には、国連軍縮担当の上級代表に中満泉氏が就任したことを挙げ、同氏の言葉から軍縮は紛争の予防でもあるという考えを学んだことを紹介し、エールを送られた。

 今年のノーベル平和賞に「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が選ばれたことについては、日本の被爆者らの努力で核兵器の非人道性などに世界の目が向けられたとして、「大きな意義があった」とした。ノーベル文学賞に決まった日系英国人作家カズオ・イシグロ氏の代表作「日の名残り」を読んだことがあることも明かし、祝辞を送られた。

 宮内庁によると、持病の頸椎(けいつい)症性神経根症の痛みに加え、今春は口唇ヘルペスや帯状疱疹(ほうしん)にかかるなど体調は必ずしも万全ではないものの、ベトナムを公式訪問するなど今年も多くの公務をこなされた。