子宮頸がんワクチンを任意接種に法改正すべきだ


 子宮頸(けい)がんワクチン接種によって重篤な副反応が起きるケースが相次ぎ、昨年来大きな問題となっている。

 厚生労働省は昨年6月、副反応との因果関係について調査するため、接種を積極的に呼び掛けることを中止した。ただ、厚労省は積極的勧奨の再開を目指していることがうかがえる。

積極的勧奨再開は見送り

 因果関係に関する説明が不十分な上、副反応被害者への補償問題は未解決だ。副反応の治療法も確立されていない。積極的勧奨を再開すべきではない。

 子宮頸がんは性関係を通じてうつるヒトパピローマウイルス(HPV)が原因だ。空気感染するような他の感染症と異なり、個人の心がけで防げる病気である。

 昨年3月末、国会は予防接種法を改正し、子宮頸がんワクチンは、地方自治体が接種を積極的に勧奨する義務を負う定期接種となった。無料接種対象は、小学6年生から高校1年生だ。それまでは希望者だけが打つ任意接種だった。

 その後、重篤な副反応が次々と表面化してきた。積極的勧奨の中止を続けることは法の規定上不自然であり、安倍晋三政権は実態を直視し、任意接種に戻すよう法改正すべきだ。

 昨年12月に開かれた厚労省のワクチン副反応検討部会では、症状の調査結果を踏まえ、接種の積極的勧奨を再開するかどうかの結論を出す予定だった。

 調査に当たった医師らの報告や、それに続く議論からは、明らかに再開の意向がうかがえた。それでも見送られた背景には、地方議会で相次いで接種を慎重に行うべきだとの意見書が可決されたことが挙げられよう。

 中には神奈川県の横浜市議会や座間市議会のように、接種と副反応との因果関係があるかどうか明確になるまでは積極的勧奨を再開すべきではない、との意見書を可決したところもある。それも全会一致である。

 ここまで副反応被害が社会問題化したのは、副反応についての説明が全く行われないまま、子宮頸がんワクチンが導入されたためだ。マスコミは、がんがワクチンで予防でき、それが無償で打てるとし、「セックス・デビュー前に接種を」というキャッチフレーズを報じた。

 年端もいかない子供たちに、性交渉がきっかけのがんを防ぐ、として画一的に接種するのは心身の発達に応じた対処とは言えない。日本人に対する十分な治験も行われていない。英米巨大製薬会社主導の国際ワクチンビジネスの波にさらされる中で、医療関係者の要望が優先されて導入されたワクチンだ。

 副反応リスクが予防効果より4倍大きいことが、厚労省への副反応報告で判明している。ワクチンの効果があるHPVは2種類だけで、HPVの感染は予防しても、がんそのものへの効果は立証されていない。

 教育によって対処を

 ワクチンの効果を確かめるために、日本の子供たちに対して人体実験を行っているような状況だ。性病に等しい病気は、ワクチンではなく教育で対処すべきである。

 それが、かさみ続ける医療費を抑える最良の道でもある。

(1月6日付社説)