発達障害って何?


 今月1日の朝、ラジオのスイッチを入れたらNHKで、昭和大学医学部教授の岩波明さんが大人の「発達障害」について解説していた。「この中で、一つでも心当たりのある項目があるようだったらADHD(注意欠如多動性障害)の可能性がある」というので、興味が湧いた。その項目というのは次の六つだ。

 ①集中力を持続させることが難しい②ケアレスミスが多い③片付けが苦手で忘れ物が多い④貧乏ゆすりなど目的のない動きをする⑤感情が不安定になりやすい⑥おしゃべりや不用意な発言が多い――。

 筆者は3項目に心当たりがあった。一つでもADHDの「可能性がある」というなら、筆者は間違いなくADHDではないか。番組では、ADHDは人口の3~4%だが、診断に至っていない人もいると説明していたから、実際はもっと多いかもしれない。

 ところが、岩波さんは「日常生活や仕事で何か支障は出ているか」がポイントで、そうでなければ「特に問題はない」という。筆者の場合、例えば忘れ物が多いという点では、生活に支障が「ある」と言えばあるし、「ない」と言えばない。

 1項目該当しても「可能性あり」と“脅し”ておいて「問題なければ問題ない」というのだから、分かりにくい。生活に支障がなければ「発達障害ではない」とはっきり言えばいいのにそうは言わない。まったくスッキリしない朝となってしまった。

 そこで、岩波さんの著書『発達障害』(文春新書)を購入して読み始めた。その本でも「正しく発達障害の概念を把握しているのは、精神科医でもごくわずかにすぎない」「発達障害についての大きな問題の一つは、診断の不正確さである」と、“告白”している。発達障害に限らず、精神科の診断は行動観察によるパターン分類で、科学的根拠に乏しく、必ず医師の「主観」が入る。発達障害が多くなる訳だけは分かった。

(森)