“チーム学校”として対処を


 文部科学省が2018年に全国の小中高校で起きた、いじめや不登校などの問題行動・不登校調査を発表した。いじめの報告は前年度から約13万件増え、過去最高の54万3933件に達した。いじめ問題に焦点が当たりがちだが、自殺した小中学生・高校生が332人もいて、3年連続で増加しているという。

 「活(い)きていくのが嫌」と発言したり、自傷行為に走ることは、自殺の前触れであり、子供たちからのSOSだと、大人は認識しなければならない。思春期を迎えるとホルモンのバランスが崩れ、衝動的な行動を起こしやすくなる。学校や家庭でのネガティブな情報・体験を減らし、昇華させてあげることを教師だけでなく、大人たちは考えないといけない。

 担任教師も通常業務に忙しい、クラスで起こる問題を全て独りで抱え込むのには限界があり、学年・学校全体の先生と情報を共有することも必要だ。

 兵庫県尼崎市では、GRIP(グリップ)という自殺予防プログラムを一部の学校で取り入れている。GRIPとは①自分の気持ちに気付く②嫌なことがあった際の対処方法を考える③相手への自分の気持ちの伝え方を考える④動画教材を使い相手の悩みを知り聴き方や対処法を考える――などを段階的に考え学ぶプログラムだ。

 群馬県ではSOSをどのように発信するかをテーマに独自教材を作成、1300部を公立・私立の全小中学校、高校に配布。保護者や地域の青少年育成団体の要望を受け、増刷しているという。

 先生はストレスも溜(た)まれば、相談を受けても、対応できない時もある生身の人間だ。そんな時に、保護者だけでなく、地域に在住する教員OB、クラブ活動の外部指導員、など教師以外の力を借りて、子供たちと日頃から良好な、信頼できる人間関係を築き、“チーム学校”として対処していきたいものだ。

(和)