一時停止で「ありがとう」


 小学校の入学式を4月に終えたピカピカの1年生も、新しい環境に慣れてきた頃だろう。遊びの延長だった保育園・幼稚園から、勉強中心の小学校。親や幼稚園バスで送迎されていたものが、自分の足で通学を始め、通学路での事故にも気を付ける必要が出てくる。

 先日、日本自動車連盟(JAF)が、横断歩道での一時停止率の全国平均は8・6%。(2018年8月15日~9月13日の調査)で最も高いのは長野県で58・6%(偏差値95・9)。JAFによると長野県は2016年の調査開始以来、毎回高い停止率となっているという。2位は静岡県で39・1%。3位石川県(26・9%)の順。一方、最も一時停止率が低いのは栃木県で0・9%(偏差値41・2)。これに広島県(1・0%)、三重県(1・4%)、和歌山県(1・4%)、東京都(2・1%)と続いていると発表した。

 長野県では、小学校入学当初から、「横断歩道では手を挙げて、自動車が止まるのを待って、横断歩道を歩きましょう。止まってくれた運転手さんに、ありがとうのあいさつをしましょう」と教えているという。免許を取得する年齢になっても、横断歩道で待っている人を見れば、一時停止するのが当たり前、となっているからだろう。

 「仕事が忙しくて、イライラして運転していると、一人の少年が横断歩道で手を挙げて、車の停車を待っている」「どうそ、渡って」と声を掛けると、渡り終わった少年が「ありがとうございます」と頭を下げてお礼を言った。運転手は「イライラが飛び去り、快適な気分になった」という石油元売り大手の宣伝で一昔前にあったのを思い出す。

 取材や通勤で運転する時、表通りから裏通りに入ると、小さな交差点では信号がなく、横断歩道だけというところも少なくない。急いでいると、ついつい、見過ごしがちだが、一時停止して「ありがとう」のあいさつをもらうと、笑顔になれる。(和)