フレイルを予防するために
健康長寿医療センター社会参加と地域保健研究チームの藤原佳典研究部長
『「フレイル」ってなに?~自立した老後を過ごすための予防、診断、対策~』をテーマに東京都健康長寿医療センター研究所主催の老年学・老年医学公開講座が東京都北区の「北とぴあ」でこのほど開かれた。同センター社会参加と地域保健研究チームの藤原佳典研究部長は「社会的側面からみたフレイル~外出と交流のススメ」についての実践と予防法を紹介した。
社会的孤立は死亡率上昇や生活機能障害のリスクに
高齢者社会的フレイルの指標として①閉じこもり傾向②外出頻度③趣味や楽しみなどの生きがいの有無④近隣との交流⑤近隣以外の他者との交流――から評価している。社会的側面を示す、この5項目がリスク要因を全て満たしているかについては、検討の余地が残っている。
高齢者の機能的健康度による分布と社会参加活動の枠組みを見ると、おおむね恵まれた高齢者は20%、標準的な高齢者60%、要支援高齢者10%、要介護高齢者10%という割合だ。その中で可能な社会参加活動として就労の段階から、引退後にボランティア活動を行う段階、それが負担になると、自分の趣味・稽古事に関わるようになり、さらに、友人・近所付き合い程度にとどまり、通所サービスを利用する段階へと進んでいく場合が少なくない。
社会的フレイルの定義を社会関係・社会環境を基盤とし、簡略化して、「ソーシャルサポート受容の低さ」「社会的孤立状態」「閉じこもり傾向」の三つに集約した。ソーシャルサポートは「手段的サポート」と「情緒的サポート」に分けられ、「情緒的サポート」が欠如している人は喫煙、高血圧、経済的要因などを調整しても、なお死亡率が3倍近く高いという報告がある。
「ソーシャルサポート受容の低さ」は、被援助志向の低さ、助けてもらうことへの抵抗感が強いということを含んでいる。このような側面が孤立死などの事態を生む一因となっている。「社会的孤立」の定義は確立されていないが、55歳から96歳まで黒人女性を5年間追跡調査した疫学研究では、社会的に孤立している人は孤立していない人に比べて死亡率が約3倍高かった(喫煙、飲酒などのリスク要因と同程度)と報告している。
高齢者の閉じこもりについては、平均して1カ月間めったに外出しない高齢者では、外出する高齢者に比べ2年後の死亡率が2倍高くなることが明らかになっている。
社会的フレイルの予防・改善には、ソーシャルサポートの欠乏を防ぐための「交流」を促進するだけでは不十分で、物理的な孤立や偶発的な他者との交流の欠乏を防ぐための「外出」を併せて促す必要がある。
社会的フレイルの予防・改善に際して身体的・精神的・社会的フレイルを統合的機能低下と捉え、全ての機能に刺激が与えられるようなアプローチを展開することが必要になってくる。社会関係性の向上を目的としたサロンであっても、高齢者の自主的な運営で社会的役割を得て、心身機能の負荷を高くすることもでき、身体活動が生じるような地域活動を含めるなどの工夫、多角的な活動を無理なく、継続的に行うことが必要だと言える。











