学生スポーツの指導者


 年末年始は高校や大学スポーツの大会が多い。

 中でも毎年注目を集めるのが箱根駅伝だ。今年は筆者も子供に冬休みの思い出の一つにしてほしいと、一緒に横浜の沿道で声援を送った。

 結果は東海大学の初優勝で終わったが、レースと共に筆者の印象に残ったのは5連覇を逃した青山学院大学・原晋監督のテレビでのインタビューだった。

 原監督は、レース後、次のようなことを語っていた。「学生たちは精いっぱい努力して頑張ってくれました。学生スポーツですから、勝っても負けても、1年間、あるいは大学4年間の学生たちの取り組みをしっかりと見ることが指導者の役目です。私も学生たちがひたむきに頑張る姿を見てきましたから」

 負けた悔しさもあって出てきた言葉だろうし、指導者としては当たり前のことかもしれないが、筆者の心に残った。勝ち負けに一喜一憂するだけでなく、学生たちが日々喜んだり悩んだりすることも含めて、全て受け止めるのが指導者というわけだ。

 優勝した東海大学の両角速監督は、練習方法をめぐって選手たちの間に不満が湧いた時、徹底して話し合い、チームをまとめ上げたという。

 駅伝に限らず、学生のスポーツは指導者によって大きく変わる。普通のチームが短期間で全国レベルになることもある。その指導者を慕って有力選手が集まるということもあろうが、実績を残す指導者には、コミュニケーション力や、選手のやる気を引き出す教育力があるのも確かだ。

 学生スポーツに対しては、学校の宣伝に利用しているとか、勝利至上主義で県外出身者を集めているといった批判もある。ただ、指導者を通して受ける人生の指針のようなもの、学生が人として成長する部分も大切にしたい。(誠)