ご存知ですか?「健康長寿新ガイドライン」
都健康長寿医療センター研究員・野中久美子氏
「ご存知ですか?『健康長寿新ガイドライン』ポイントを押さえて!あなたも健康長寿」をテーマにした東京都健康長寿医療センター研究所主催の老年学・老年医学公開講座が東京都文京区の文京シビックホールでこのほど開かれた。社会参加と地域保健研究チームの野中久美子研究員は「社会参加~外出・交流・活動で、人やまちとつながろう!~」と題して、無理なく、楽しく、継続して社会参加することの大切さ、有益さについて語った。
社会参加の大切さと有益さ/無理なく、楽しく、継続して
社会参加と地域保健研究チームは「途切れの無い社会参加を推奨している。高齢者のステージは①就労②ボランティア活動③自己啓発・生涯学習活動④友人・隣人等との私的な交流⑤要介護期の通所サービスとあり、個々人の生活機能に応じて選択され、参加し続ける。生活機能の低下に伴って、行動範囲が狭くなるが、それに応じた地域との交流を切れ目無く続けることが望ましい。
保育園や幼稚園、小学校などで、定期的に絵本の読み聞かせボランティアを行っているグループは、そうでないグループと比べ、バランス能力、知的能力性において維持または向上が見られた。また、月1回以上のボランティア活動をする人はボランティアの頻度が月1回未満の人、またはボランティア活動を全く行わない人と比べ、4年間生活機能を維持する可能性が3・3倍ほど高かった。
ボランティア活動と活動参加意向の観点から①ボランティアに進んで参加②やりたくないが、ボランティア活動をしている③ボランティアをしたいが、不参加④ボランティアに参加したくないし、参加していない――の4群の調査をした。そのうち、③④の人は3年後に自立生活機能に支障が出る可能性が①の人の2倍近くあることが分かった。
社会貢献活動は独り善がりではなく、歩きながら、あいさつすることも、自身の健康に良いだけでなく、あいさつを返す、大人と子供の間の関係構築など、子供の発達・次世代の育成にも良い影響を与える。
外出頻度が1日1回未満の人を「閉じこもり傾向」と定義し、移動機能に問題の無い高齢者2500人を①非孤立かつ非閉じこもり傾向②非孤立かつ閉じこもり傾向③孤立かつ非閉じこもり傾向④孤立かつ閉じこもり傾向――の4群に分け、4年後の日常生活機能低下の発生率を男女別に検証した。
男性では③が①に比べ2倍日常生活機能に問題が生じるリスクが高いことが分かった。女性では②は①に比べ、1・6倍日常生活機能に問題が発生するリスクが高いことが明らかになった。男性は社会的孤立により日常生活機能に影響を受けやすく、女性は外出頻度の低下による影響を受けやすい可能性が示唆された。介護予防の観点からは、人との交流を伴う外出を1日1回以上すること、「無理なく」「楽しく」「継続して」が大切と言える。