ご存知ですか?「健康長寿新ガイドライン」
都健康長寿医療センター研究員・横山友里氏
「ご存知ですか?『健康長寿新ガイドライン』ポイントを押さえて!あなたも健康長寿を」テーマにした東京都健康長寿医療センター研究所主催の老年学・老年医学公開講座が東京都文京区の文京シビックホールでこのほど開かれた。
高齢者の虚弱防ぐ食生活/1日10品目の食品群摂取を
社会参加と地域保健研究チームの横山友里研究員は「食生活~いろいろ食べて、やせと栄養不足を防ごう!~」と題して、高齢者のフレイル(虚弱)予防の観点から、どのような食生活を送ればよいのかについて語った。
医療関係者は中年期のメタボリック症候群、太り過ぎ、食べ過ぎに注意喚起しているが、高齢者には健康長寿ガイドラインの一つ目「気をつけよう!やせと低栄養」が重要なキーワードになっている。東京都小金井市と秋田県南外村(現・大仙市南外)の追跡調査や各種先行研究を参考に検討を行った結果、要介護・死亡リスクが統計的に有意に高くなるポイントが体格指数(BMI)20㌔㌘/㎡未満と血清アルブミン4・0㌘/dl未満だった。これらを低栄養予防の目標値として提案した。
高齢者はエネルギーをはじめ、数多くの栄養素や食品群の摂取不足が問題になる可能性があるとともに、予防・改善に向けては、特定の食品群や栄養素に頼らず、質に着目する必要がある、というのがガイドラインの二つ目。
多様性のある食事をしている人は、たんぱく質やミネラル、ビタミンなどの摂取量が多く、炭水化物の摂取が少ない。筋肉を強くしたり、体調を整えることに相応(ふさわ)しい食事と言える。逆に、炭水化物が多く、おかずが少ない食事をしていれば、四肢骨格筋肉量が減り、体調を整える食事ができていないことになる。
健康長寿ガイドラインでは「さあにぎやか(に・合いの手)いただく 1日7点以上」を掲げている。「さかな、あぶら、にく、ぎゅうにゅう、やさい、かいそう、いも、たまご、だいずせいひん、くだもの」の頭文字を並べたもので、1日10品目の食品群を摂取するように努めましょう。
食べる力を支える口腔機能に関するガイドラインが三つ目の「守ろう!噛(か)む力:さきいか・たくあんが食べられる」だ。80歳で20本以上、自分の歯を残そうという8020運動が2017年で約半数の人が達成している。だが、高齢者の口の健康は歯の本数だけでは測れず、噛んで味わう咀嚼(そしゃく)能力が注目されている。
東京都板橋区在住の高齢者700人に咀嚼能力判定ガムを用いて調査。噛めないグループは噛めるグループに比べ、相対的に栄養素、食品の摂取量が少ないことが明らかになった。
毎日10の食品群を取るのは大変だが、例えば、肉・魚は加工品や缶詰を活用したり、野菜炒めや肉料理に卵とじとして活用する。大豆は納豆や豆腐を常備しておくなど工夫して摂取すると食事の質の幅がぐんと広がる。