特別支援学校を訪ねて
先日、筆者が住んでいる市の特別支援学校を訪ねる機会があった。
市は首都圏の中でも障害児への対応が手厚い地域だと言われている。学校の待合所で待つ間、通り掛かった教師や生徒たちが、初めて会う筆者にあいさつをしてくれて、爽やかな気持ちになった。
近年、特別支援学級に在籍する子供の数が増えているという。文部科学省の特別支援教育資料によると、特別支援学校や特別支援学級に在籍している児童生徒数は、平成29年度の時点で約14万2000人。5年前の平成24年度は約13万人だった。また、全体の学級数が少子化で減っている中でも、特別支援学級は増えている。
支援学級の児童生徒が増えている理由について、実際に特別支援学級を担当している教師に聞いた話では、昔に比べて障害に関する研究が進み、以前であれば性格などのせいにされていたことも、障害として認知されるようになったことが要因ではないか、ということだった。
筆者は特別支援学級に在籍している子を何人か知っている。一口に支援学級と言っても、肢体不自由の子、知的障害のある子、精神的障害のある子、学習障害の子などさまざま。
障害児教育に関わっている医師によると、一芸に秀でるというのだろうか、才能豊かな子も多いという。最近ではダウン症で書家として活躍する金澤翔子さんが有名だが、筆者が知っている子は絵がうまく、小学校の頃には学校の作文集の表紙を描いていた。音楽が得意な子もいる。親にとって子育ては“奇麗事”では済まない。親の苦労は並大抵ではないが、子供から受ける喜びも大きいという。
金澤さんは、皆に喜んでほしいという一心で書いているという話を読んだことがある。結局、人生の幸福はどこにあるのか、ということだろう。われわれは豊かな人生についてどこまで意識しているのか。改めて考えさせられた。(誠)