東京都教育委員会、全国初の「はしうち教室」開設
不登校児童・生徒が対象、分教室型で運用
東京都教育委員会はこのほど、不登校児童・生徒に対する多様な教育機会を確保する観点から、調布市教育委員会が文部科学省から指定を受け、2018年4月に調布市立第七中学校(吉岡俊幸校長)に、全国初の分教室「はしうち教室」を開設すると発表した。今回指定を受けた不登校特例校は、将来的に学校への移行を見据えつつ、当分の間、分教室として設置・運用される。
不登校特例校とは、不登校児童・生徒を対象として、文科大臣が認める場合に、児童・生徒の実態に配慮した教育課程を編成して教育を実施する学校。今回の取り組みは、はじめに分教室という形で設置することで、施設整備に要する費用や関係者間の調整などに関わる負担が比較的小さくなり、速やかに設置することが可能となった。将来的に独立した学校へ移行することで、教育環境を向上させる。
同教室の対象となるのは、保護者の住民票が同市であり、公立学校に在籍し、心理的に不安定な傾向があり、連続または継続して年間30日以上欠席した不登校生徒。より小集団での学習が適切であると学校が判断した生徒としている。分教室への入室方法としては、分教室入退室検討委員会を設置し、対象の生徒となるかの可否を決定する。
教室の名前「はしうち」とは、卵から雛がかえるときに、雛が殻の内側を突き破ろうとする状況を言う。不登校の児童・生徒が自分の殻を打ち破り、自立しようとする思いに、教職員が寄り添い、指導・支援するようすを例えたもので、児童・生徒の意見を踏まえて決定された。
年間の総授業時数1015時間を910時間へと低し、朝の時間帯にゆとりを持たせる意味から、1単位時間を45分として、午前3単位時間、午後2単位時間を基本に設置。各教科で習得した知識・技能を、各自の興味・関心のある学習内容に活用し、自分の得意とする手法で表現する「表現科」の設定、コミュニケーションスキルトレーニングを充実させ、不登校の児童・生徒に能力の向上を図るトレーニングなどの支援を行う。一人一人の状況に応じた指導体制の充実を図るために「個別学習」の時間を設置し、不登校による未学習の内容を補う時間を確保する。
東京都教育委員会では、今回設置する分教室型の特例校を「東京版不登校特例校」と位置付け、当初から学校の形で設置される特例校とともに、区市町村教委への支援を通じた設置促進を図って行きたい、としている。