判決の偏向報道


 性器を強調した男女の大人の人形などを使った性教育をしていた都立七生養護学校(現・七生特別支援学校)の裁判が先月末、決着した。

 平成15年、この露骨な性教育を問題視して、視察に来た古賀俊昭氏ら3都議と都教委の行動を、当時の教師らと保護者31人が「不当な介入」として東京地裁に提訴。原告側は、都教委によって保管の形で持ち去られた人形の返還と、東京都、都教委、3都議などに対して3000万円の損害賠償を求めていた。

 平成21年3月、東京地裁は都教委と都議に210万円の支払いを判決で命じた。これは、原告側が一番勝ち取りたかった人形教材の返還が却下された、実質的な敗北だった。損害賠償も大半が都が支払うため、都議1人当たりにすれば5万円にすぎない。

 ところが、大手紙は、鬼の首でも取ったかのように「都議らの介入は不当」(毎日)などと大きく報道。結局、双方とも一審判決が不服で控訴したが、同9月、控訴棄却の判断に。

 この時も同様の見出しで、原告が一方的に勝訴したような報道となった。さらに上告審となったが、今回、最高裁の判断は上告を受理しない、というもの。結局、一審の判決が定着した。

 原告が訴えていた都議の「不当な支配」についても、認められなかった。ただ、学習指導要領は多義的な解釈が可能で、これがそれに違反しないと原告が考える根拠はある、とした点は腑(ふ)に落ちない。

 古賀都議は、視察に行ったとき、教師らは「弁護士と相談して待ちかまえていた様子だった」という。裁判闘争で勝ち、過激な性教育を定着させようと図ったわけだ。

 結果は敗北だったが、その戦術が裁判で継続され、それを支援する大新聞の決め付けにより事実と異なった報道が続いたという次第だ。

(山)