中学教諭の約6割が週60時間以上勤務、20時間…


 中学教諭の約6割が週60時間以上勤務、20時間以上残業しており、厚生労働省が過労死の労災認定の目安としている月80時間超の残業に相当――このほど文部科学省の調査で明らかになった。

 調査によれば、小中学校の授業時間が増加したほか、中学では土日の「部活動・クラブ活動」が2006年度の前回調査時の1時間6分から2時間10分とほぼ倍増した。

 経済協力開発機構(OECD)国際教員指導環境調査(13年)を見ると、日本の教員が学校運営業務に費やす時間は参加国平均の約2倍、一般事務に携わる時間も同様の傾向がある。授業以外の業務による長時間勤務の常態化ということで、文科省の調査結果とは多少違う。

 ともあれ“過労死ライン”となれば放置できない。教育正常化を目指す全国教育問題協議会(全教協、中尾建三理事長)が昨年、自民党に提出した「教育問題に関する要望書」で「教員が本来の業務である授業に専念できる体制整備」を強く要望している。

 実現には「チーム学校」の体制づくりが求められよう。福祉の専門家ら外部の人材を活用して教員を支援するもので、文科省も模索する教育システムだ。

 15年度の小中高のいじめ件数は約22万件、不登校も15万件を超え、暴力行為も5万5000件と過去最高を記録した。全教協も要望書で、学校に必要な職種の担い手の配置を提案している。本来の授業風景を取り戻す近道だと言える。