学校トイレの進化


 ロサンゼルスに出張した時のこと。日本に帰国する前日、現地で取材をアレンジしてくれた米国人の女性と日本人男性が筆者をねぎらいたいと、すし屋に招待してくれた。今年春に開店したばかりで、インターネットで調べて見つけたという。

 経営者も職人も日本人というだけあって、シャリもネタも米国の店とは思えないレベルでちょっと驚いた。食事が終わりかけたころ、女性が席を立った。

 しばらくして戻ってくるなり、大興奮。「あんなトイレ、見たことないわ! フタが自動で開閉するんだもの!」と、まくし立てた。日本の最新式トイレを設置していたのだった。フタの自動開閉どころか、あらゆることを自動でやってくれる種類もある、と少し大げさに日本のトイレ事情を説明すると、彼女は目を丸くした。

 今や、世界に誇れる日本のトイレだが、文部科学省の調査によると、小中学校は、洋式が4割超。筆者の時代はすべて和式だった。一般家庭がほとんど和式だったから、それで問題になることはなかった。

 今は事情が大きく変わった。自宅が洋式なのに、学校は和式では慣れないから使いづらい。使用を我慢して、健康を損ねる子供が出てはまずいので、学校でも洋式が増えている。

 だが、洋式にすれば解決する問題でもなさそうだ。たとえば、家のトイレが最新式でフタが自動開閉となると、自分の手でフタを開け閉めすることに、衛生感覚から抵抗感を覚える子供が出てくるかもしれない。となると、学校も自動開閉式にするのか。日本のトイレはどんどん進化している。

 そんなことを考えながら、「学校のトイレ研究会」の研究誌を見ると、すでに一般家庭レベルを超え、一流ホテル並みのトイレを設置している学校の写真が載っていた。米国の彼女にそれを見せたら、きっと目玉が飛び出すだろう。(清)