物価高騰抗議デモの不発
地球だより
11月11日の金曜日に、最近の物価高に抗議するデモが企画されたが、不発に終わった。シシ大統領による、過激派イスラム集団「ムスリム同胞団」を含む反体制派への監視体制が奏功した格好だ。
在エジプト日本国大使館領事部は11月7日、邦人向けに注意喚起を行い、「11日を『哀れな者たちの日』とし、大規模デモを呼び掛けている」として、不測の事態への警戒を促した。さらに、最近の物価高にも言及、物価上昇や物資不足を背景に、窃盗事件やスリ、ひったくり、詐欺などの一般犯罪が増加するなど、治安の悪化を懸念する注意喚起も行った。
物価は、このところの「米ドルに対するエジプト・ポンド安」に比例して、ほぼ例外なく高騰し続けている。例えば、数カ月前と比較し、米はキロ5ポンド前後から9ポンド前後に、ガソリンは約40%高騰、砂糖は、ムスリム同胞団が組織的に買い占めを行い、どこにも見当たらない。
「アラブの春」の革命時に、戒厳令が発令されて物が買えなかった経験を持つ庶民の一部は、買いだめに走ったが、ふたを開けてみると何も起こらなかった。
デモの呼び掛け人は、トルコに逃れたムスリム同胞団員らとみられており、トルコは同胞団の本拠地と見なされている。
エジプト政府の警戒体制は盤石で、治安の改善を見て、観光客の出足が上向いているとの旅行業界の話も聞くようになった。
(S)