山も女性の時代
若い時にやっていた趣味を還暦を機にもう一度始めるシニアが多い。
筆者が入会したシニアの山の会は平均年齢68・6歳。男性より女性会員が多く、会の平均年齢と思(おぼ)しき女性が15㌔の荷物を背負って平然と登る姿に驚かされた。
高齢者の事故は命取りとなるため、山の会では、7㌔、10㌔、15㌔とリュックの重さを3ランクに分けて、トレーニング登山を会員に課している。
筆者は最初7㌔と決め込んでいたら、「10㌔をクリアしたら、今夏、槍、穂高にも行けるよ」というリーダーの甘言に心が動き、10㌔に挑戦する羽目になった。学生の時以来、本格登山をしていない。登り始めて早々に後悔の念が頭をもたげたが、後には引けない。先輩女性に励まされ、ぎりぎり時間内に登頂することができた。
なかなか硬派な会だが、山行を計画し、引率するリーダーの不足が会の悩みの種という。特に装備の負担が大きい冬山や縦走登山はリーダーを引き受ける人が少なく、山行が減っていると聞いた。男性は個人登山を好む傾向にあるのと、意外に健康不安を抱えている人が多いからだという。
その日、何とか無事に下山し、登山靴の泥落としをしていると、リーダーがニコニコしながら、「次は15㌔ですね」。シニアの山の会も女性の活躍なしに会の活動を維持するのは困難になっているようだ。
先月、女子学生の南谷真鈴さんが日本人最年少記録の19歳でエベレスト登頂を果たした。聞くところでは、南谷さんは父親の仕事の関係で香港に住んでいた13歳の時から登山を始め、ヒマラヤ山脈には2010年からチャレンジを開始。14年の暮れにはマスコミの取材に対し、「2年後の春、19歳で世界最高峰の頂に立ちたい」と宣言して、今回、見事に有言実行したという。
老いも若きも、いずこの世界も女性の元気さが光っている。(光)