戦後教育の優等生


 「憲法記念日」の3日、都内で「新しい憲法をつくる国民大会」を取材した。講師たちの興味深い話が続く中で、特に自民党の秋元司衆院議員の話が記憶に残った。

 団塊ジュニア世代の秋元氏は、小中学校で日教組の教師から、日本は憲法9条で戦争、武力の行使を放棄したから平和なんだよと教えられた体験を紹介。昨年、安保法制の必要性を訴える街頭演説中、若い女性が寄ってきて「お腹の中の子供を戦争にいかせないでください」と切実に訴えてきた例を挙げながら、しみじみと「教育というのは恐ろしいな」と述懐した。小中学校で「平和」について間違った教育を受けてきたので、自らの国を守ろうという前向きな議論に後ろ向きな国民が多くなったというのだ。その通りだと思った。

 「日本は一切の武器を捨て、兵隊は一人も置かないことを憲法に決めました。そしてどんなことが起こっても、決して戦争はやらぬと決めたのです」

 「外国から攻めて来たらどうするか。…」

 「それでもこちらはやらないのです。…世界にいつまでも平和が続く…には日本が決して戦争せぬというだけでなく、世界の人々を疑うことなく、みんな平和を愛する人たちだと信じて、それによって日本も…安心してゆくがよいのです」

 「それでも、きっと攻めてこないとは言えぬよ」

 「そのように疑い合っていては世界は平和にはなりません。日本が真っ先に、…どこまでも平和主義で進めば、世界中もそれについて来るようになると思います。それこそ日本が世界から信用されるもとです」。これは昭和23年3月出版の児童・青少年向け新憲法解説書『絵入り 子供のけんぽう』(新教育振興会)の一節(一部表記を修正)。今も一部の野党議員や学者、平和運動の活動家が同じことを言っているが、彼らは本当に戦後教育の優等生なのだ。教育というものはまことに恐ろしい。(武)