「動物からコロナ感染」は誤解、丁寧な説明を

「飼ってよかった」と実感する動物飼育

全国学校飼育動物研究会が研究大会(3)

中島由佳教授、小学校対象のコロナ禍質問票調査を公表

 「『飼ってよかった』と実感する動物飼育」をテーマに第23回全国学校飼育動物研究大会(主催・全国学校飼育動物研究会、鳩貝太郎会長)がこのほど、Zoomを使ったオンラインで行われた。大手前大学教授の中島由佳氏は「第一回緊急事態宣言に伴う小学校休業と学校動物飼育への影響」と題して小学校対象に行った質問票調査の結果を公表、分析した。


「動物からコロナ感染」は誤解、丁寧な説明を

大手前大学教授の中島由佳氏

 コロナ禍に伴い、2020年4月7日から5月25日まで学校が臨時休校となった。その間、餌やり、掃除、休校明け後の対処、児童の対応など学校動物飼育はどうだったのか、各県教育委員会、獣医師会、獣医師を通じて動物飼育を行っている小学校に質問票を配布した。257校(有効回答248校)から回答があった。電子ファクスを主に使用し、調査期間は9月から 2021年1月(到着分)。

 飼育状況について、流行前に屋外飼育を行っていた学校数はウサギ121校、ニワトリ等17校、小鳥4校、ヤギ1校、魚類5校、カメ2校、数字上は提示されていないが、資料等で判明したのが14校、飼育していない74校となっている。屋内飼育についてはウサギ47校、モルモット・ハムスター26校、メダカ・魚類45校、カメ6校、飼育していない学校が約半数となっている。飼育していないと回答した学校でも理科の研究としてメダカなどの魚類を飼育していても、件数に入れていない学校が相当数あると推察する。

 学校休業中の動物の世話は誰がしているかという質問に対して教職員156校、飼育担当教職員59校、管理職9校、保護者・町のボランティア5校、児童が分担して家庭で飼育しているとの回答が20校もあった。学校再開後の世話は上級生の学校飼育委員児童116校、担当学年児童87校、児童36校、主に教職員14校、保護者・ボランティア5校などとなっている。

 コロナ禍での心配事、飼育する上での問題点について人獣共通感染症25校、衛生面42校、密の回避17校となっている。児童が世話してよいのか12校、十分に世話・触れ合いができないことを心配する14校。動物から人間にうつることを心配する回答がかなりあった。また、教員の働き方改革の中で長期休業中や普段の世話を心配する61校、長期休業中の教職員の負担55校とかなり多くなっている。

 コロナに感染した動物から人間に感染するのではないかという、あらぬ誤解を受けている。獣医師に聞くと、家庭や動物園で飼育されている動物から人間にうつった症例はない。他国で飼育員からライオン・トラにうつったという例はある。保護者・教職員に対して丁寧な説明が必要だろう。

 獣医師が預かるシステムがあれば、利用したいか、という質問に対して、多くの学校が利用を希望している。「動物にとって幸せな飼育環境」「教職員の負担軽減」「子供たちの成長」を地域・学校・獣医師などの有志の協力で「飼ってよかった」と思える学校動物飼育を長い目で見て、継続できるよう支援していきたい。