飼育動物の立場に立ち、心の豊かさを育む
林禎久校長が発表、飼育活動には獣医師の協力も不可欠
「『飼ってよかった』と実感する動物飼育」をテーマに第23回全国学校飼育動物研究大会(主催・全国学校飼育動物研究会、鳩貝太郎会長)がこのほど、Zoomを使ったオンラインで行われた。東京都教育委員会から動物飼育推進校に指定されている東京都中野区立白桜小学校の林禎久校長は2年生が中心になって行っているモルモットの飼育活動を紹介した。
白桜小学校は児童数543人(18学級)。生活科でモルモットの飼育活動を行っているのは1年生1学級30人の4学級、2年生25人の3学級となっている。5、6人で1頭のモルモットを飼育している。2年生が世話している15頭のモルモットに加え、1年生が進級した時のために5頭の子供のモルモットも育てている。
動物飼育を充実するため、昨年度から東京都教育委員会から動物飼育推進校の指定を受けている。また、餌代などの金銭面、中野区獣医師会の全面的協力を受け、関連授業や研修会の実施も設けることができている。中野区の学校教育向上事業の研究推進校の指定も受けている。
1、2年生だけで、十分な飼育活動ができるわけではなく、教職員のサポートのほか、飼育に関心があり、飼育経験・技術を持っている3~6年生の飼育委員会の支援、飼育のアドバイスや動物の診療ができる獣医師の協力も必要になってくる。モルモットの毛が飛散すれば、長時間、教室内に存在することから動物アレルギーを持つ児童への対応は忘れてはならない点だ。
1年生は飼育を始める前に、良かれと思ってベッド、机、タンスが必要だろうと、段ボール紙や画用紙で作成、飼育に使っている衣装ケースに配置する。だが、翌日、登校して驚いた。モルモットが“家具”をメチャクチャに壊していた。「なんてひどい」と思いながらも、本当に必要なものは何なのか、本で調べたり、2年生に聞いてみることで、モルモットの立場に立った飼育方法を仲間で話し合うきっかけになった。
2年生の活動は、飼育開始から3カ月経過して、自分たちと仲良しになっているかどうか、たくさん餌を食べ楽しく過ごしているか、頭をなでてあげると目を細めてうれしそうにしているか、キュッとつままなければ膝の上でキューキューと気持ち良さそうに鳴くか、抱き方が悪く、気持ち悪いとグルグルと鳴くといった体験を具体的に話し合う。
動物飼育は、学校の教育目標である「思いやりを育み、行動できる子供の実現」につながる。動物への親しみを持ち、世話をする楽しさ、成長する喜びを味わい、動物に対するさまざまな思いやり、生命への責任感が身に付いてくる。友達だけでなく、上級生や先生、獣医師との接し方、人間関係に反映され、児童の心が豊かになってきている。