アメリカのような車社会の街作り進む東京近郊
東京都町田市にあるコストコ多摩境倉庫店に行ってきた。息子と娘が会員になるので一緒に行こうと誘われたためだ。緊急事態宣言解除後2回目の日曜日ということもあって、家族連れの客で大変な混雑だった。
アメリカ式の大作りの店内と大量販売も懐かしかったが、普段車に乗らない筆者にとって、もっと興味深かったのはコストコに向かう道すがら車窓から見た付近の風景だった。付近にトイザらスやカインズ、ヴィクトリアゴルフなどの郊外型大型店舗が並んでおり、ぐりーんうぉーく多摩など、広い駐車場の横にさまざまな店が並んだショッピングモールもあって、さながらアメリカのような車中心の街作りになっていた。
もともと明治以降の日本の街作りは鉄道の駅を中心に行われた。筆者の田舎ではかつて国鉄の駅前から町の中心街が延びていた。東京も高層ビルや地下街、地下鉄などがあって街が立体的であることを除けば、街作りの基本は同じで、電車の駅の近くにスーパーや飲食店などが並び、そこで衣食の用を済ませて周辺の自宅やアパートに帰るという形になっている。
ところが、平成の初め頃、ワシントンに赴任してあっと驚いた。中心街に向かう地下鉄の郊外の駅を出ると、辺り一面駐車場で店らしきものは1店もなかったからだ。買い物は車でショッピングモールに出掛けるのが普通で、これこそ車社会の街作りだと感心したものだ。
筆者の田舎でも昭和50年代までに1級河川沿いに国道が整備されてからは、その道路沿いや連結道路の周辺に大きなスーパーができて、駅前は人通りが激減して寂れてしまった。東京はそんなことはあり得ないだろうが、近郊では電車の駅を中心とした街作りと並行して、本格的な車中心の街作りが進んでいる。ただ、老人にはやや馴染(なじ)みにくい街であるようだ。少子高齢化が進む日本は今後、どんな街並みになるのだろうか。(武)