在宅ワークで時間に余裕、進む父親の育児参画


 「父の日」、久々に親族が集まり、会食をした。この日は在宅ワークの話で盛り上がった。通勤時間がなくなり、ストレスが減った。昼飯がカップ麺になったとか、家事をやるようになったら父親の評価が上がったという人もいた。

 在宅ワークの一番のメリットは時間の余裕が生まれることだろう。家族が一緒に過ごす時間が増え、父親が子供と関わったり、家事時間が増えたり、男性側の日常がずいぶん変わったように思う。

 在宅が進む中、今月3日、育児・介護休業法が一部改正となった。今回の改正法は男性が産後の育児に参加しやすくなる「男性版産休」制度とも言われている。制度のポイントは出生から8週間以内に4週間、2回まで分割取得が可能で、しかも育休の申し出を2週間前にできる。さらに育休中も在宅業務ができるなど、より活用しやすい制度設計になっている。

 子育ての科学によると、男性が早くから育児に参画するメリットは想像以上に大きい。京都大学の明和政子教授の研究によると、産後の一番大変な時期に父親が子育てに関わることで母親の育児ストレスが緩和されるだけでなく、父親と赤ちゃんの触れ合いがオキシトシンの分泌を促し、父子の絆が深まるということが分かってきた。

 職場や社会における男女共同参画は進んできたが、家庭内ではワンオペ育児が当たり前のように続いている。結婚後5年以内の子連れ離婚が増えているのも、父親が子育てに関わることが少ないからであろう。もちろん、父親と母親の役割は違う。母親の育児を精神的にもサポートする信頼できる存在が傍(そば)にいるということが、もう一人欲しいという、出生促進につながるようである。

 男性の育休活用が進み、父親が早期に育児に関わることで、虐待のリスクを高める産後うつや育児不安の解消につながることを期待したい。

(光)