コロナ禍のなかで家庭教育支援が願われている
筆者の自宅近くには保育園が2園あるが、朝、子供を保育園に送る父親の姿を見ることが増えた。保育園に行く子供と父親が駅に向かう母親に手を振って反対の方向に歩く姿も見掛ける。数年前のデータでは、わが子を保育園に送迎する役目を担う父親は1割程度だった。
ここ数年は、父親の育児休業が議論になってきた。ユニセフが一昨年発表した「家族にやさしい政策」では、日本は育児休業が最も整備された国として評価されている。政府は「パパ休暇」など新しい制度も導入している。ただ、その利用率は1割に満たない。
文部科学省が2月に公表した、家庭教育支援に関する保護者の意識調査(昨年9月、18歳までの子供を持つ父母約3400人を調査)を見ると、「家庭教育の充実のために必要なこと」について、「親がもっと家庭教育に取り組む」を父親の4割以上が挙げて最も多かった。もっと子供の教育に関わりたいと思う父親が増えているということだ。母親の方は「親が取り組む」と共に、「子育てをしている仲間同士が助け合う」も3割に上っていた。
ただ、この質問で目立ったのは「行政が支援すること」が増えていること。父母とも約4割が挙げていて、2008年の前々回、16年の前回調査と比べて「親が取り組む」が調査ごとに減り、「行政の支援」が、2割→3割→4割と増えているのである。具体的には「子育ての経済的負担」や「悩みや相談に対応できる仕組み」が願われていた。
家庭教育支援条例を制定する自治体も増えつつある。また、多くの自治体が「アウトリーチ型支援」(訪問型家庭教育支援)に取り組んでいる。こうした家庭教育への支援には「家庭への介入」だとして一部に反対する声もあるが、コロナ禍にあって関係が難しくなる家庭もある中、こうした支援の必要性がさらに高まっていると言えよう。
(誠)