気を付けたい言葉遣い「いいですか?」
新聞という仕事柄、“言葉”に対して敏感にならざるを得ない。還暦を超えて、高齢者に片足を突っ込み、“窓際族”になってくると、元部下、若手の言葉遣いが果たして良いものか、悪いものか、判断が付き難いものが増えてくる。一時期社会問題にもなった「普通においしい」とか「やばい」という言葉のようにだ。
部下が上司に対して「~~してもらってもいいですか?」「画面の確認、書類の確認、いいですよ」「ハンコ、押してもらっても、いいですか」という表現が気になって仕方がない。私の元部下は今の上司に「~~していいですよ」とぶしつけな言い方をする。おかしいでしょ、と言いたいが、今は別の部署になっているだけに気が引けて言いだせない。
梶原しげるの『イラッとさせない話し方』の中にこうした問題を取り上げている一節があった。「~~していただけますか?」「~~してもらえますか?」の代わりに使っているようだが、「敬語もどき、敬語のつもり」として、若者の間に広まっている表現のようだという。
伝統的敬語表現なら、気持ちよく受けられるのに……という梶原氏のコメントが付け足されている。同じようなケースとして、クレジットカードで買い物をする時、「ここに名前かいてもらっても、いいですか?」とか、病院で見舞いに行った時、「受付で聞いてもらってもいいでしょうか?」などの例示がある。使う時と場所、相手を見極めて使わないと、要らぬ感情のトラブルを招きかねない、と指摘する。
「褒めて伸ばす」という言葉が“独り歩き”していた時期もある。褒められて、有頂天になり、伸びる素養を失なわせたり、プレッシャーに感じる若者世代もいるということを肝に銘じなければならない、ややこしい時代になった。
(和)