家事・育児に関わる父親像について考える機会を


 厚生労働省が先月末に公表した調査によると、子供が1人以上いる夫婦では休日に夫の家事・育児の時間が長くなるほど、第2子が生まれる割合が高くなる傾向があった(第8回21世紀成年者縦断調査)。

 例えば、夫が休日に家事・育児をほとんどしていない家庭では第2子が生まれる割合は50%だったのに対して、2時間未満でも夫が関わっている場合は7割を超えていた。

 この調査は、20代から30代の男女合わせて約6000人に毎年継続して聞いているものだ。

 他の研究を見ると、父親が家事・育児に関わるだけでなく、母親としっかりとコミュニケーションを取ることが重要だという指摘もある。夫婦のコミュニケーションの時間が多いほど夫婦関係が良くなり、お互いに対する満足度が高まって、子育てなど母親のストレスも改善するというのである。そうなれば、子供に対する父母の接し方も、より好ましいものになる。

 菅政権は男性の育児休暇の促進を重要課題の一つとしており、現在の約6%から2025年に30%まで引き上げることを目標にしている。

 ただ、以前にも書いたが、筆者は「父親が育児休暇を取って何をするのか」をもっと考えるべきではないかと感じている。妻を支え、妻のストレスを改善すること、夫婦が共に子育てをすることは当然だが、母親と父親が子育てで果たす役割は違うからだ。

 「(子どもが)困難に自力で立ち向かうことのできる存在へと発達するために、『同行二人』のような形で、子どもを見守り、必要に応じて手をさしのべ、前方へとふみだす手助けをしてやるのが、父性の最大の任務だといえる」(正高信男著『父親力』)。

 子育てに関心を持つイクメンが増えている中、育児休暇の議論をこうした父性、父親像を考える機会とすべきではないか。

(誠)