結婚や子育てに幸福を感じる社会つくりを


 最近、結婚について改めて考えさせられることが続いた。

 一つは、遠方に住む筆者の弟の長男と長女、筆者にとっては甥(おい)と姪(めい)が、ほぼ同時に結婚が決まったことだ。甥は仕事先で相手と知り合い、姪の相手は大学の先輩である。

 二人とも年齢は20代半ば。昨年の平均初婚年齢は、男性31・2歳、女性29・6歳だから、“早婚”と言っていいかもしれない。

 もう一つは最近、国や自治体が行っている少子化対策の難しさについて、研究者と知人から話を聞く機会があった。知人は高齢化が進む自治体の仕事に関わっている。

 わが国の昨年の婚姻件数は59万9007組。令和婚の効果で前年より1万2000組余り増えた。ただし2001年が約80万組だから、20年間で20万組も減少したことになる。

 晩婚化や未婚化が進んでいる背景には、むろんさまざまな要因がある。結婚願望はあっても適当な相手に巡り合えない、独りの方が気楽、経済的に厳しい等々。昔のようにお見合いのお世話をする人も減ってしまった。

 人口減少に悩む自治体にとっては、若者たちが地元で結婚し、子供を持って定着してほしいというのが切実な願いである。そのために婚活セミナーを開催したり、結婚や仕事など将来の人生設計を考える場を設けている自治体も多い。

 ただし、結婚は個人の選択の自由だから、自治体ができるのは経済支援や環境整備であって、「結婚しよう、子供を産もう」ということは言えない。だから成果が出るまでには時間がかかるし、もともと高齢者が多い自治体では妙案がないというのである。

 むしろ大切なのは、一人ひとりが結婚や子育ては幸福だと感じられる社会をつくることだという。それには家庭で夫婦円満の姿を見せ、子供のお手本になるのが一番だというのが、知人との話の結論だった。

(誠)