第2波に備えて「学び方」の発想転換を


 東京中心にコロナ感染者数が再び広がりを見せている。子供を抱える保護者や子供たちにとって、今年は厳しい夏になりそうだ。遅れた授業を取り戻そうと、多くの小中学校は夏休みを短縮し、授業計画を立てている。夏休みが最短4日という学校もある。

 今後、コロナの感染状況次第では、再び臨時休校になるかもしれない。第2波に備えて、学校はICT化に取り組んでいるが、文科省が掲げる「GIGAスクール構想」の狙い通りには進んでいない。

 日経新聞の7月調査では1人1台端末を完了したのは東京都渋谷区のみ。全国主要市区の8割が年内に整えられないことが分かった。一番の理由は「在庫不足」だ。世界中でテレワークとオンライン教育が進み、需要の急増に供給が追い付かないというのだ。そうなると、各学校のICT環境の取り組み状況や家庭の教育環境の違いによって、今後ますます、学びの格差が広がる懸念がある。

 学習指導要領には教科ごとに標準授業時数が定められている。ゆとり教育を見直した2008年から授業時数が大幅に増え、新型インフルエンザが流行した09年の時、学校現場は授業時数の確保に追われた。確かに授業時数の確保は大事だが、それで第2波の到来に対応できるのかどうか。またオンライン授業を導入できたとしても、単に教室でやっていることを家でやるという発想では、創造的、主体的な学びは生まれにくい。

 一人ひとりの学習能力、理解度は一様ではない。だからこそ、一人ひとりに最適な学びを実現する「学び方の改革」を進めようというのが、文科省が目指す方向だと理解している。

 一律の授業時数も大事だが、学習内容が習得されたかどうかがもっと重要だ。夏休みや冬休みを短縮して、とにかく授業時数を確保するという発想はそろそろ見直したらどうだろう。

(光)