子供の予防接種は「不要不急」にあらず


 7月7日付に【なるほど小百科Q&A】「通常の予防接種、延期の是非は?/コロナで神経質にならず予約を」の記事を読んだかのように、学生時代の友人からSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で「孫の予防接種だ、接種中は泣き喚き、大粒の涙がポロポロ」「終わった後の笑顔は天使のようだ」という動画が届いた。親夫婦、祖父母夫婦に似て、生後100日とは思えない凛々(りり)しい顔つきと、なかなかの“ジジ様”ぶりだった。

 「子の予防接種は『不要不急』の対象外/知らずに未接種 3割/保護者調査」(7月11日付読売新聞夕刊)という記事が出ていた。NPO法人「VPDを知って、子どもを守ろうの会」がウェブサイトで1089人が回答したアンケートをまとめたものだ。

 調査では「不要不急」が子供の予防接種と重なった保護者は553人。このうち、対象外だと知らなかったのは88人。受けさせていない割合は33%。一方、不要不急でないことを知っていた465人のうち、未接種だったのは12%だったという。

 保険制度がしっかりしていない国、貧富の格差が大きい国、教育水準の格差が大きい国ほど、新型コロナウイルスの罹患者、死者が多いようだ。

 医療関係の都民講座で聞いた話だが、新型インフルが猛威を振るったメキシコなども識字率が低く、情報収集ができない。テレビ・ラジオも正しい情報を得る手段になり得ていないことが挙げられた。また、保険制度に加入できない貧しい人々は罹患しても病院に行けない、狭い部屋に大家族が密集している、体調が悪いにもかかわらず、日銭を稼ぐため仕事に行かざるを得ないということだった。

 新型コロナの感染も怖いが、それ以外にも子供が感染すると重篤化する感染症はあまたある。コロナウイルスへの対処方法と同じく「正しく知って、正しく恐れる」ことが重要だ。

(和)