期待される新型コロナ収束後の教育の劇的変化


 新型コロナ収束後の世界はどうなるのか。人々の関心が高まっている。教育の分野で言えば、技術革新が進み、教育は劇的に変わるだろうと専門家は期待を寄せている。

 学校の臨時休校に合わせて、すでに塾や予備校などではAIドリル学習やオンライン授業を導入した教育サービスが始まっている。AIを活用した学習システムを開発した、ある教育ベンチャーでは4月からオンライン受講を開始。先日、自宅でのオンライン受講でも塾の教室とほぼ同じ学習効果が確認できたという分析データを公表した。

 同社の学習システムは一人ひとりの習熟度に合わせてAIが最適化した学習を提供するもので、通常の学校の授業の半分の時間で授業内容を習得できてしまう。その上、遠隔でコーチングを行い、子供の学ぶ意欲を高め、学習の質を上げることができる。つまり、最先端の塾を利用している子供たちは、休校中も発展的で深い学びができるというわけだ。

 一方、自粛が長引く中、家庭内での虐待やDVが深刻化しているとの話が聞かれるようになった。家庭の養育力の差が子供の育ちに影響を与え始めている。コロナ収束には1年はかかると言われており、授業のオンライン化は喫緊の課題だが、文科省調査では、臨時休校中の公立学校でデジタル教科書や教材を活用した家庭学習の実施は29%、双方向のオンライン指導は5%と低調だった。

 熊本市や岐阜県など、いち早くオンライン授業を導入した自治体もあるが、ほとんどの学校は混乱の中にある。

 1年ほど前、前述の教育ベンチャー代表・N氏にお会いした時、「塾や予備校で成果を挙げたら、次は義務教育に活用を広げていきたいが、今は難しい」と語っていた。

 今回のコロナ自粛をきっかけに、旧態依然の公教育の在り方が少しでも変わることを密(ひそ)かに期待している。

(光)