政府の新型コロナ感染への対策は迅速に
新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、政府はついに史上初めて「伝家の宝刀」といえる緊急事態宣言を行った。とはいえ、当初は休業要請すら「外出自粛を第1段階として、その効果を見極めてから」と及び腰になっていたから、どれだけの効果があるのか心配が先立つ。
ようやく財政的に余裕のある東京が口火を切って11日から宣言対象の都府県が相次いで休業要請を始めた。首相も11日夕に宣言区域内の全事業者に「出勤者を最低7割は減らす」よう要請するなど、本腰を入れ始めた。
本当に1カ月で感染拡大を阻止するためには、国民が大きな負担を甘受するのもやむを得ないだろう。また、政府の方でもやるべきことがあるはずだ。
まず、マスクの生産・流通を拡大し、医療関係者はもとより一般国民に届くようにすることだ。既に官房長官は2月12日、マスクの品薄が「次の週以降」にも解消するかのような答弁をしたが、2カ月たっても品薄は全く改善していない。身近な問題だけに政府の威信を懸けて何らかの結末を付けるべきだ。
さらに重要なのは、ウイルス感染を判定するPCR検査を増やすことだ。新型コロナの恐ろしさは「見えない」ところにある。また、感染の実情把握なしには政府も対策を立てられないはずだ。厚労省は本腰を入れて検査を増やそうとしなかった。
当初は、感染者急増による医療崩壊を防ぐため重症者優先で対応する方針はそれなりの説得力があった。クルーズ船の大量感染という想定外の事態が起こり、受け入れ態勢の整備も難しく思えたからだ。2カ月たっても、いまだに1日4000件程度しか検査されていない。
2月中旬に感染爆発が起こった韓国では当初、1日1000件程度の検査件数を1週間後に7500件以上に増やしたが、医療崩壊を起こさなかった。どうして、日本でそのようなシステムをつくれないのか不思議でならない。
(武)