年賀状から考えた家族の意味
お正月は毎年、年賀状のやりとりをする。最近はメールなどで済ませる人も多いから、差し出す枚数も受け取る枚数も減ったが、年賀状で近況を知る親族や知人がいるから貴重である。
中に家族写真付きのものが数枚あった。筆者の子供の中学時代の同級生は、春休みにホームステイをする準備中だという。別の知人の年賀状では成長した女の子の写真を見て感慨深かった。
家族写真の年賀状が送られてきても嬉(うれ)しくない、かえって面倒、という声もあるようだが、筆者はそれぞれの家族、特に子供たちの成長を見ると楽しい気分にさせられる。大げさに言えば、年賀状から家族の肖像の一端が見えるからだ。
普段はあまり意識しないが、写真を見ながら「家族」あるいは「家庭」が果たしている役割を考えさせられる。家族社会学の分野では以前は、「夫婦や親子、きょうだいなどの近親者が深い感情的関わり合いで結ばれ、幸福を追求する集団」だと定義されていた。子供を産み育てていくのが家族の重要な役割であることは間違いない。
長年、日本とアメリカで家族や夫婦のカウンセリングを行っていた近藤裕氏(ライフマネジメント研究所所長)に話を聞いたことがある。家族を宗教的な視点で捉えていたことに新鮮な驚きを覚えた。
氏によると、人間が持っているスピリチュアルなもの(天から付与された本質、原石)を発見し、育てる基盤になるのが家族だ。また、特定の宗教を信仰していなくても結婚する時は自分を超えた偉大な存在に祝福されたいという、宗教的なものを求める人が多いという。そして、家庭を基盤にして愛する人になることが、神によって仕組まれた生存の仕組みではないかと言われていた。
このような家族の新しい見詰め方が必要な時代になっているのではないか。
(誠)