中学1年生対象に「地域企業ガイダンス」
企業との出合い通じ将来の職業や働き方の意義考えて
地元企業との出合いを通して将来の職業や働き方の意義を考えてほしいと、秋田県では中学1年生向けに「地域企業ガイダンス」を3年前から開いている。このほど秋田市の外旭川(そとあさひかわ)中学校で開かれたガイダンスには1年生82人と地元企業16社が参加。6~7人のグループに分かれ、生徒はそれぞれ3社から説明を聞いて回った。秋田地域振興局とハローワーク(公共職業安定所)の共催。(伊藤志郎)
秋田地域振興局とハローワークが共催
参加した企業は、自動車販売、学習塾、建設業、公務員(秋田県警)、美容、リネンサプライ、飲食・ブライダル、製造業、木材製造、医療・福祉、リサイクル業と多方面にわたる。会場は学級の教室、音楽室、美術室、体育館で、生徒は順次、指定された教室に向かった。
体育館で開かれた測量会社の説明会では、実際の測量機器やミニドローンを使って体験。「農地の区画整理や地下灌漑(かんがい)システムの設計などをしています。最近は災害が多く、人手不足です」と担当者。
土木・建築工事と秋田空港の除雪、製材業を営む企業は「自分が手掛けた道路や建物が完成した時の達成感は格別。女性が何人もいるし、昼休みや仕事の後はバスケットボールを楽しめる。年に1回は社員旅行」と福利厚生面の充実も説明した。
日本最大の合板メーカーは、日本の森林再生と、地域産業の発展・地元雇用の推進など地域社会への貢献をアピール。一方、自動改札機や銀行券監査機などを組み立てている企業もあり、生徒たちは興味を持って聞いていた。
同校1年の学年主任・中村啓(あきら)教諭は「これまで職場訪問は年に1社しかできなかった。ガイダンスの後は各グループが体験したことを学級で発表し、働くとはどういうことか、将来の意識付けになれば」と語る。また企業の担当者は「中学1年生なので就職はまだまだ先だが、秋田県にはさまざまな企業があることを知ってもらえるいい機会になった」と話す。
秋田地域振興局の担当者によると、今年度の開催は4校目。今回は1校の生徒だけだったが、3校合わせて約250人の生徒が参加した事例のアンケート結果では、企業が印象に残った理由として「やりがいがありそう」「社員を大切にする」「仕事内容に興味」が上位を占めた。ガイダンスについての満足度では97%が好感を示し、特に企業担当者の「熱意、やりがいが伝わった」と回答した生徒が飛び抜けて多かった。