【上昇気流】ロシアのウクライナ全面侵攻が始まってから6日目


ロシアのトーチカ弾道ミサイル(左)=2017年9月、北西部ルガ(EPA時事)

 ロシアのウクライナ全面侵攻が始まってから6日目。時間の問題とみられていた首都キエフの占領には至っておらず、ロシアのプーチン大統領にとっては大きな誤算だろう。

 その背景に、ウクライナ側の激しい抵抗、ロシア軍の士気の低さ、補給の問題などがあると軍事専門家が指摘している。ポーランド国境へ多くの人々が避難しているが、18歳から60歳までの男性は国内に留(とど)まっている。一般人も武器を取って、あるいは火炎瓶を作って徹底抗戦の構えだ。

 プーチン氏は「核の脅し」まで使ってNATO(北大西洋条約機構)を牽制(けんせい)し、ウクライナを屈服させようとしている。全面侵攻を予想外だったとする専門家も多い。「プーチン氏による核兵器使用」という想定も排除すべきではないだろう。

 ベラルーシとの国境で停戦協議が始まったが、ロシア側はウクライナの中立化と非武装化を停戦・撤退の条件としている。ウクライナとしてはとても呑(の)めるものではないだろう。

 もし、ウクライナがロシアの要求を一方的に受け入れて停戦となれば、軍事大国が周辺国を侵略し、核の脅しを使って支配するという最悪の前例となってしまう。主権と国際法の尊重という世界の基本秩序は完全に破壊される。

 いま世界は第2次大戦後最大の危機に直面している。その最前線で戦っているのがウクライナの人々だ。世界は彼らの命懸けの勇敢な戦いを、あらゆる可能な方法で助けていかなければならない。