【上昇気流】米英は在ウクライナの外交官の家族などに国外退避を命じた
米英は在ウクライナの外交官の家族などに国外退避を命じ、日本の外務省もその方向で検討を始めた。ロシアのウクライナ侵攻が現実味を帯びてきたとの判断があるのだろう。
そんな折、ロシア専門家の袴田茂樹青山学院大名誉教授が、日本記者クラブで会見し、今後のロシアの出方について「軍事力によってウクライナ全体を占領しロシアの一部にするというのは、政治的、経済的に負担の方が大きい」との見方を示した。
プーチン大統領の狙いを、袴田氏はNATO(北大西洋条約機構)へのウクライナの加盟阻止を第一とみる。かつて東ウクライナのドンバス戦争でプーチン氏がロシア系の分離独立を支持しなかったのも、分離すればウクライナのNATO加盟を加速させると考えたからだという。
しかしロシアがウクライナを占領し自国領とすることはなくても、親欧米派のゼレンスキー政権を転覆し親露派政権を擁立するため、実際に軍事力を行使する可能性は否定できない。
英外務省は、親露派のムラエフ元最高会議議員を首班とする新政権が検討されていると発表した。信憑(しんぴょう)性は高いのではないか。
燃料価格の高騰がきっかけで起きた中央アジアのカザフスタン暴動では、集団安全保障条約機構(CSTO)のロシア軍部隊が派遣された。袴田氏はこれも、実権を手放さないナザルバエフ前大統領を排除するため、プーチン氏とトカエフ大統領が手を組んだとの見方を示している。