【上昇気流】クリスマスの朝、目覚めた子供たちはどんなプレゼントを手にしただろうか


パリの巨大ツリー、コロナ禍でも華やかに

クリスマス

 クリスマスの朝、目覚めた子供たちはどんなプレゼントを手にしただろうか。夢占いによれば、この日に見た夢は「幸運」を象徴する贈り物だという。

 ケチで冷酷な高利貸しのスクルージ老人の場合、夢に現れたのはかつて相棒だった男の幽霊だ。英国の文豪チャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』(1843年)は、スクルージが幽霊に導かれて過去と現在、未来を旅する話だ。

 幽霊は学校に連れていく。クリスマスの日で誰もいない。しかし、幽霊は言う。「友達に仲間外れにされた、一人ぼっちの男の子がいるよ」。それはスクルージの哀れな少年時代だった。続いて幽霊は現在を連れ歩く。そこには、いつしか温かな心を失った守銭奴の彼がいた。

 そして未来は、頑丈な鎖に巻きつかれ、逃れることのできない牢獄の中。耐えられなくなり彼は叫ぶ。「おお幽霊さま! 私の言うことをお聞きください。私は今までの私とは違います」(新潮文庫)。そこからスクルージの新しい人生が始まる。

 明治期の慈善事業家、石井十次は「親のない孤児より、もっと可哀想なのは心の迷い子。精神の孤児」と捉え、キリスト教の精神を実践する岡山孤児院を創設した。「心の迷い子」には年齢も時代もない。大阪クリニック放火事件はこのことを気づかせた。

 キリスト教は「神は愛なり」という。その愛は「与える愛」「無償の愛」ともいう。クリスマスの日に想い起こしたい。