【上昇気流】暦を見ていると、新年に向けたカウントダウンが始まっている
暦を見ていると、新年に向けたカウントダウンが始まっているという意識になる。とはいえ、その実感が乏しいのは、年末の風物詩であるクリスマスを経ていないからだろうか。
考えてみれば、年末といっても、今年と来年を区切る特別な印が自然界にあるわけではない。歳末の風俗行事などがあって初めて実感することになるわけだ。こうした時季を意識させるものが暦だが、今の時期にはこの暦が必要以上に集まってしまうことが多い。
気流子の家にも、土産や贈答品としてもらったものなど数種類が余っている。なければ不便だが、あり過ぎても邪魔になる。壁に掛けたりした後は、処分に困ってしまうのである。
新しい暦が来ると、それまでの暦を俳句の季語では「古暦」と呼ぶ。「年の暮まではまだ古暦にも用がある」(稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』)。その点で日めくりの暦は、めくる紙が残り少なくなって年末を強く意識させる。
「書店訪ふこと久しけれ日記出づ」(古上邦雪)。この時期、書店などには日記や手帳のたぐいが置かれている。新型コロナウイルス禍でインターネットで本を注文することが多くなり、書店に行くことが少なくなった人もいるだろう。
手帳や日記は、手に取ってみないと分からないことがある。かつては分厚いものもあったが、最近はコンパクトなものが目立つ。スマートフォンで代用できるからだろう。時代を感じさせるものの一つだ。