【上昇気流】 東京都東村山市にある狭山公園の紅葉を見に出掛けた
東京都東村山市にある狭山公園の紅葉を見に出掛けた。多摩湖の東岸にある都立公園で、広大な狭山丘陵の一部だ。季節は冬なのだが、晩秋という趣で、木々の葉が黄や褐色に色づいて見応えがあった。
森がどのような色に染まるかは樹木の種類による。朝方、霜が溶けて陽(ひ)に輝く「風の広場」を通り抜けて多摩湖の堤防にのぼった。鳥たちの声が聞こえ、湖の彼方に奥多摩の山々がくっきりと見えた。
公園を見下ろすと、左から「どんぐりの森」、サクラのある「風の広場」、眼下の「ススキ原っぱ」、奥にはトウカエデとトチノキの林、右手の「野鳥の森」はコナラとクヌギの森だ。木々は太く背が高い。
モミジなど赤はわずかで、黄、褐色、白、朱、緑などがこの森の色。素晴らしいのは、地面が見えなくなるほど散り敷いた落ち葉とその上を歩く感触だ。役目を終えた葉の一枚一枚が美しい。
長さ30㌢もある乾いたトチノキの葉を手に取ってみる。茶色の薄い和紙のようで、主脈を中心にしてわずかに湾曲している。枝についていた時は手のひらを広げたような掌状複葉。その一枚だ。
『里山さんぽ植物図鑑』(宮内泰之監修、成美堂出版)によると、掌状複葉は空気が流れる際、乱気流が起きやすく、周囲から二酸化炭素が供給される。それがメリットだという。コナラの落ち葉は一枚が黄緑、黄、赤と多彩。深く積もった葉は、生と死が入り混じっているかのようで、地球の脈動を感じさせた。