【上昇気流】ルネサンス期の巨匠ミケランジェロが1564年に亡くなった
ルネサンス期の巨匠ミケランジェロが亡くなった1564年に天文学者ガリレオが生まれ、ガリレオが亡くなった1642年に物理学者ニュートンが生まれた。地動説や万有引力の法則などが明らかにされた1600年代は「科学革命の世紀」と呼ばれる。
同時代のオランダにレーウェンフックという風変わりな男がいた。16歳でアムステルダムの織物店に徒弟奉公に入り、21歳で故郷デルフトに帰って店を開き、市公会堂の門番も勤めていた。その傍らレンズ磨きに魅せられ、顕微鏡を自作し、日々、覗き込んでいた。
ある日、雨だれの一滴を見て驚愕し、娘を呼んだ。「ここへおいで! 早く、早く! 雨だれの中にちっぽけな虫がいるんだ。泳いでいるぞ、ぐるぐるまわっている! この目で見えるどんなものより千倍も小さいんだ。ほうら、見てごらん」(ポール・ド・クライフ著『微生物の狩人』筑摩書房)。
これが人類初の微生物の発見とされる。この詳細なスケッチが英国王立協会に届けられ、彼はニュートンと並んで会員となった。当時は「小氷河期」で冬ともなれば、オランダ中の運河が凍り付き、その上を馬車が走った。人々は氷上の滑走を楽しみ、そこからスケートが生まれた。
顕微鏡は光学から電子へと飛躍し、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」もそれで知れる。気候は温暖化とは言え、各地から初氷が伝えられる。時は移ろいでも人の世は繋がっていく。
(サムネイル画像:Wikipediaより)