【上昇気流】虫の声を聞いてしみじみと秋の深まりを感じる
上昇気流
今さらだが、今年は虫の声を聞きそびれた気がする。毎年秋になると、都会でも空き地や路地、家の庭の隅などで、虫の声がささやかに、時にはうるさいほど聞こえてくる。特にコオロギの声はおなじみで、それを聞くと故郷の自然を思い出す。
だが、今年は聞き始めもほとんど記憶にない。虫が鳴いているということは何度かあったと思うが、かすかな声だったので忘れてしまったのだろう。新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり生活で、外にあまり出掛けなかったこともあるかもしれない。
秋になったと感じるのは、日が短くなったことや肌寒さなどによってだが、虫の声もその一つ。虫の声を聞いてしみじみと秋の深まりを感じるのが伝統的な日本人の季節感である。そして、その後の紅葉で秋の終わり、冬の到来を実感する。
今ごろになると、年賀はがきを買い求めたりする。また、喪中による年末年始のあいさつの欠礼の知らせが知人友人から届いたりする。新年用のカレンダーや手帳なども店頭に出回っている。その点でも、年の終わりを意識せざるを得ない。
ただ今年は、虫の声も含めて自然の移り変わり、季節感を感じることが少ない1年だったような印象だ。とはいえ、年末の重要なイベントとしてクリスマスや除夜の鐘なども待っている。
「来年のことを言えば鬼が笑う」ということわざがあるが、コロナ禍が終息し、豊かな自然の四季を感じられる年にしたい。
(サムネイル画像:Wikipediaより)